| エルガーやヴォーン=ウィリアムズといったお国もの、ワーグナーやブラームスといったドイツ浪漫派の音楽で高い評価を得たイギリスの巨匠、サー・エイドリアン・ボールトはヴァンガードに、ステレオ録音で4曲のベートーヴェンの交響曲を残しました。「英雄」、「運命」、「田園」とこの交響曲第7番です。質実剛健とは、この演奏のためにある言葉でしょう。ちなみにロンドン・フィルハーモニック・プロムナード管弦楽団の実体は、名門ロンドン・フィルとも言われています。 |
| (1)ベートーヴェン:交響曲第7番 長調作品92 (2)ベートーヴェン:「エグモント」序曲作品85 [録音:1957年6月] |
| サー・エイドリアン・ボールト指揮、 ロンドン・フィルハーモニック・プロムナード管弦楽団 |
| デンマークの名匠モーエンス・ヴェルディケは、バロックから古典派の作品を得意とした指揮者で、わけても声楽の扱いにかけては抜群の手腕を発揮しました。ヴァンガードに残したハイドンの「ザロモン・セット」は、その典雅な指揮ぶりで評論家の故・志鳥栄八郎先生から絶賛された名盤です。ウィリー・ボスコフスキーがコンサートマスターを務めるウィーン国立歌劇場管弦楽団は、ウィーン・フィルとほぼ同一メンバーのオーケストラ。当時はレコード会社との専属契約が厳しく(ウィーン・フィルの場合は特例を除いてデッカ・レーベル)、他社とのレコーディングの際には、国立歌劇場オーケストラの名称を使うことがほとんどでした。 |
| (1)ハイドン: 交響曲第100番 ト長調 Hob.Ⅰ-100 「軍隊」 (2)ハイドン: 交響曲第101番 ニ長調 Hob.Ⅰ-101 「時計」 [録音:1956年6月] |
| モーエンス・ヴェルディケ指揮、 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 |
| いわずと知れたストコフスキーの個性が強烈に発揮された名盤。若い頃からレコーディング・テクニックに最大の関心を払った巨匠らしく、発売当時このLPレコードも、最新流行のSQ4チャンネル方式で話題を集めました。パワフルな金管の炸裂を鮮烈にとらえた超優秀録音が楽しめます。アメリカ交響楽団は、優秀な若手演奏家を集めたストコフスキーの私設オーケストラです。 |
| (1)チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調作品36 (2)スクリャービン(ストコフスキー編): 練習曲 嬰ハ短調 作品2-1 [録音:1971年4月] |
| レオポルド・ストコフスキー指揮、 アメリカ交響楽団 |
| "エルマン・トーン"と称された甘いヴィブラートと官能的なポルタメントで一世を風靡した巨匠の最晩年のコンチェルト録音。まるで十九世紀のヴィルトゥオーソを聴くようなオールド・スタイルは、古き良き時代の懐かしい薫りに包まれています。ゴルシュマン指揮するウィーン国立歌劇場管弦楽団の流麗極まりない伴奏も必聴です。 |
| (1)メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 (2)ラロ:スペイン交響曲 [録音:1960年] |
| ミッシャ・エルマン(ヴァイオリン)、 ウラジーミル・ゴルシュマン指揮、 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 |
| コープランドは生涯にかなりの自作自演を残していますが、無類のテクニシャン、アール・ワイルドと共演したピアノ協奏曲は、その頂点にある一枚。オーケストラのシンフォニー・オブ・ジ・エアーは、トスカニーニのNBC交響楽団のメンバーが再結成した名人集団で、この歴史的な録音に花を添えています。クリスマス・オペラ「アマールと夜の訪問者たち」で有名なイタリア系アメリカ人の作曲家メノッティの珍しい協奏曲も、その軽快さに驚かされるコンテンポラリー・ミュージックです。 |
| (1)コープランド:ピアノ協奏曲(1926) (2)メノッティ:ピアノ協奏曲* [録音:1961年] |
| アール・ワイルド(ピアノ)、 アーロン・コープランド指揮、 ホルヘ・メスター指揮*、 シンフォニー・オブ・ジ・エアー |
| シゲティといえば十八番のバッハ演奏から、謹厳・いかめしい、といったイメージが定着しているようですが、1944年にライヴ・レコーディングされたこのベートーヴェンを聴いていただければ、それがとても一面的な評価であることを納得してもらえるでしょう。緩徐楽章では驚くほどロマンティックで自由な表情が聴かれたり、あるいは興に乗って音楽が勢いよく走りだしたりと、ライヴならではの意外性に満ちあふれた全集です。当時、四十代に入ったばかりのアラウの重厚なピアノも聴きものでしょう。 |
| 《ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集》 (1)ヴァイオリン・ソナタ第1番 ニ長調作品12-1 (2)ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調作品12-2 (3)ヴァイオリン・ソナタ第3番 変ホ長調作品12-3 (4)ヴァイオリン・ソナタ第4番 イ短調 作品23 (5)ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調作品24「春」 (6)ヴァイオリン・ソナタ第6番 イ長調作品30-1 (7)ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調作品30-2 (8)ヴァイオリン・ソナタ第8番 ト長調作品30-3 (9)ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 作品47 「クロイツェル」 (10)ヴァイオリン・ソナタ第10番 ト長調作品96 [録音:1944年ライヴ] |
| ヨゼフ・シゲティ(ヴァイオリン)、 クラウディオ・アラウ(ピアノ) |
| ルドルフ・ゼルキンなど音楽仲間とともにチェロの巨匠パブロ・カザルスの元にはせ参じて、数々の楽興の時を繰り広げた経験を持つヴァイオリニスト、アレクサンダー・シュナイダー。この録音では、そのルドルフの息子ピーター・ゼルキンとの共演です。協奏曲の指揮者としても共演していたシュナイダーは、当時十六歳の若きピーターの才能を楽しんでいるかのように余裕いっぱい。あのプダペスト弦楽四重奏団のセカンド・ヴァイオリン奏者、またハイドンの弦楽四重奏曲の全曲演奏会とレコーディングを行なうため、一時は自らの名を冠したクワルテットを主催していたシュナイダー。室内楽の達人として、"音楽の楽しみ方"を聴く者に伝授してくれる一枚です。 |
| (1)シューベルト: ピアノ五重奏曲 イ長調 D.667「ます」 (2)シューベルト: ヴァイオリン・ソナタ イ長調 D.574(遺作)* [録音:1963年、1964年*] |
| ピーター・ゼルキン(ピアノ)、 アレクサンダー・シュナイダー(ヴァイオリン)、 マイケル・トゥリー(ヴィオラ)、 デイヴィッド・ソイヤー(チェロ)、 ジュリアス・レヴァイン(コントラバス) |
| 神童の名を欲しいままにした天才として、あのレシェティツキをして「この少年の心の中にはモーツァルトがいる」と言わしめたホルショフスキーが選んだ道は、旋律楽器の伴奏をメインとした室内楽奏者としてのキャリアでした。わずかに残されたソリストとしての録音の中でも、最晩年のこの演奏を聴けば、その昇華され切った音楽づくりが、すべてを瞬時に納得させるに違いありません。ホルショフスキーの地道な人生は、こんなバッハを演奏するために必須の道程だったのです。「彼はバッハを自ら作曲したかのように弾く」(マレイ・ペライア)。 |
| (1)J.S.バッハ: 平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV.846~869 [録音:1979-80年] |
| ミエチスラフ・ホルショフスキー(ピアノ) |
| カリスマ評論家、宇野功芳先生が愛して止まないリリー・クラウスの即興曲集です。モーツァルトとシューベルトに一生を捧げたウィーンの名花のすべてが凝縮された名盤です。 |
| (1)シューベルト:即興曲集 作品90 (2)シューベルト:即興曲集 作品142 [録音:1967年] |
| リリー・クラウス(ピアノ) |
| 「もし好きなピアニストを一人だけ挙げろと問われれば、私ならジャンヌ=マリー・ダルレです」と評論家、谷戸基岩氏が絶賛して止まないフランスの女流ピアニスト。1905年生まれの天才少女は、マルグリット・ロンらに師事した後、21歳から本格的な活動を開始しました。サン=サーンスのようなフランス音楽はもちろんのこと、ショパン、リストといったロマン派の作品に本領を発揮しました。若い頃から数多くのリストの録音を行なってきましたが、1965年にヴァンガードに残したこの一枚は、その集大成とも言うべき薫り高い名演です。 |
| (1)リスト:ピアノ・ソナタロ短調 S.178S (2)リスト: パガニーニによる大練習曲第3番 嬰ト短調 「ラ・カンパネラ」 (3)リスト:忘れられたワルツ第1番 (4)リスト: ペトラルカのソネット第123番~巡礼の年第2年 「イタリア」 (5)リスト: 超絶技巧練習曲集~第5番 変ロ長調「鬼火」 (6)リスト: 超絶技巧練習曲集~第11番 変ニ長調 「夕べの調べ」 [録音:1965年] |
| ジャンヌ=マリー・ダルレ(ピアノ) |